中央銀行発行デジタル通貨のことCBDCと呼んでおりますが、最近下記のようなニュースがありました。そこからR3が公表したwhitepaperをダウンロードすることが出来ます。ここではそのペーパーのTL;DRをコメントとして残します。
R3レポート「ほとんどの中央銀行デジタル通貨は大口を対象とする」
米大手ブロックチェーン企業R3によると、現在、各国の中央銀行が構想している中央銀行デジタル通貨(CBDC)のほとんとは、消費者向け(リテール)のものではないという。 R3は4月に「中央銀行デジタル通貨、決済イノベーション」と題したレポートをリリース。その中で現在のところ、基本は消費者向けのCBDCの開発は進めていないという。 …
- CBDCにはホールセール向けとリテール向けの2種類があり。
- それぞれエンドユーザーの異なる要件、好みがあるため
- ホールセール向け
- ネットワークの参加者(金融機関等)が固定的
- リアルタイムかつアトミック決済(DvP決済)を実現することで、信用リスクの積み上がりを排除できる!
- T+0決済の実現
- 24/365対応
- リテール向け
- ネットワークの参加者(一般消費者)は不特定多数
- 一般的に、中央銀行は5~7年ごとにRTGSシステムの改善のため、技術的な見直し・精査をしている
- どこにでも当てはまるCBDCのソリューションは存在しない、当然ながら
- AlipayやWeChatなどのクローズドな決済システムでは、リスクが一か所に集中し、また相互運用性に欠ける
- BISが定義するCBDCの3つのアプローチ
- ハイブリッド型
- 銀行だけが中央銀行が発行するCBDCにアクセスし出来(ホールセール向け)、リテール向けには別途、支払サービス事業者が対応する。
- 支払サービス事業者がKYCに責任を持つ
- 中国のPBOCがやろうとしているリテール向けCBDCはこのアプローチ
- 間接型
- 中央銀行ではなく、商業銀行が中央銀行当座預金を原資産としたステーブルコインを発行し、それをリテールのユーザーに利用してもらう。
- ナローバンクの考え方の実装
- 直接型
- スウェーデンの中央銀行Riksbankは二つの方法を提案
- バリュー型(中央銀行がCBDCをトークン化してそれをリテールユーザーが使う)
- 中央銀行口座型(リテールユーザーが中央銀行に口座を持つ!?まぢか)
- スウェーデンの中央銀行Riksbankは二つの方法を提案
- ハイブリッド型
- 一般的な実装方法
- Tier 0 … 中央銀行が限られた適格銀行に対しCBDCを発行
- Tier 1 … 適格銀行同士はCBDCで銀行間決済が可能(ホールセール)
- Tier 2 … 適格銀行から支払サービス事業者や事業会社等の企業に対し、CBDCの引出/預入機能を提供。企業はAPI経由(~Pay)でリテールに対しサービス提供
- Tier2の企業はカストディアンとしての役割を担うことになる。それを好まない企業もいるため、Tier2での口座をアカウントごとに分け、他の企業に対しAPI経由での引出/預入機能を提供することもありっちゃあり。
- Why Blockchain?について
- グローバルな金融エコシステムにおいて、今の状況(誰がいくら持ってる、どんな取引が行われたなど)は刻一刻と変わるにも関わらず、そのデータの正確性は、エコシステムの参加者がどれだけ正確に記帳出来るかに依存している。これではデータの真正性を保てない。
- ブロックチェーンによるシステム全体のリスク削減
- ハニーポットがなくなる。ハッキング対象となるシステムが分散されるため、そもそもハッキングのインセンティブが下がる
- 単一障害点がなくなる。一か所が落ちても、ネットワーク全体は維持出来る。