B2Bにおける自動車関連データの共有はなぜ失敗に終わるのか?をメモしておく。


MOBI関連のレポート。モビリティーの文脈で、B2Bの世界で、企業がデータを共有し合うにはインセンティブがないという話。原文は以下リンクから。

https://drive.google.com/file/d/1Ws0e-i-EdsfHU387fCnKwkl_1CkYQt0B/view

  • データは本当に新しいオイルなの?という疑問にデータエコノミー(バリューチェーン、プラットフォーム、シェアリングエコノミー)の観点で切り込んでいく
  • データエコノミーを理解するための3つの前提
    • 物理的な商品・製品の価値は下がってきており、コモディティー化が進んでいる
    • 一方、データが知恵や洞察を得るための基礎となっている
    • データは金銭的価値になり得る
  • データを売買することを考えた場合、市場価値の算出は相当難しい、というか無理。
    • そもそも、データを売買する確立されたグローバルなマーケットプレイスはない
    • あるデータと他のデータは比較できない。その価値はどうしても主観的になってしまう。
    • 一方、オイルは物理的であり、グローバルなマーケットプレイスがある。定量的に測られ、金額がある。その埋蔵量も限られている。
    • 一方、データには定量的価値を測る物差しがない。データはそこらじゅうにいくらでもある。
  • 生データは原油のように精製しないと意味がない。
    • この精製プロセスは、構造化、分析、異なるデータの組み合わせ、を経て利用可能な情報やサービスへと変貌する。
    • したがって、データバリューチェーンの一番最後、つまり顧客との接点部分が最も価値を生む。
  • デジタルの時代、データ交換を促進する媒体は二つ、プラットフォームエコノミーとシェアリングエコノミー
    • プラットフォームエコノミー
      • eBayとAmazon、B2CもしくはC2Cの分野で取引を促進している
      • 取引手数料が収益源
      • 需要と共有のマッチングのためにサードパーティーによる仲介が必要
      • B2Bの環境においては、Alibabaが代表的
    • シェアリングエコノミー
      • ピア・ツー・ピアのネットワークでデータを共有する
      • Facebookが代表的であり、個人的な情報を交換する
      • 驚くべきは、消費者にとっては何の金銭的インセンティブがないのに、データ共有が促進されている点
    • 消費者は、サービスという対価と引き換えに、無料でデータを企業に共有しても良いと思っている
    • 一方、B2Bの企業では、たった10%-15%しか他社とデータ共有したいと思っていない。この分野でデータ共有を促進するにはインセンティブ設計が重要
    • まとめるとB2CやC2Cの世界ではデータ共有が盛んなのに、B2Bの世界では苦戦している。
    • なので、Cの世界から学んでBの世界に活かすべき
  • Uberから学ぶべきことが多い
    • ユーザーは自分の生データ(ロケーション)を共有してサービス(移動)を受けている
    • Uberでは、複数の生データをもとに(Google mapとか)、マッチングやルーティング等をして(これが精製プロセス)、サービス提供に活かしている
  • 自動車産業は根本的な変革が求められており、CASEという言葉で表現されている。
    • Connected …車両間等のコミュニケーションはデータ交換によって行われる
    • Autonomous … 自動運転に必要な運行状況等のデータ交換が求められる
    • Shared … エコシステム内外の関係者間におけるデータ交換が求められる
    • Electric … 次世代インフラ(スマートグリッド等)にはデータ交換が必要
    • 共通して言えることは、モビリティーエコシステムにおいてデータは燃料として求められるということ。この点、データは新しいオイルという主張は文字通りで正しい。
  • モビリティーエコシステムには、道路や信号等あらゆるインフラが対象となるが、これら点を繋ぎ合わせるのは至難の業。しかし、これがないと全体像が見えない。
    • 例えば、バス、電車、タクシー、カーシェアリング、等は全てサイロ化したデータとなっている。
    • 課題は、どの情報がいつ誰と共有されるべきか。
    • モビリティーエコシステムのオーナーなんているのだろうか?
  • モビリティーに関するデータ共有が上手く行かない理由は5つ
    • データ標準
      • 誰もが許容できる構造化データの定義は困難
    • データ品質
      • 一般にデータ品質は、ある特定の文脈において目的に合致しているかによって決まる
    • データのマネタイズ
      • データバリューチェーンを考慮すると、データの供給者は無料でデータ共有することに全く興味がない。よってデータはサイロ化する
      • 実際のところ、誰もがデータ共有の重要性は理解している
      • データの購入者の観点からすると、データが改ざんされているかもしれないし、そもそも公正価値が分からない。
      • 結果、データ共有の金銭的インセンティブが欠ける結果に。
    • データの所有
      • 一番上の階層でデータを管理するプラットフォーマーが一番権限を持つ。データの供給者からすれば、データをプラットフォーマーに渡すインセンティブはない。
    • セキュリティー
      • プラットフォーマーがサイバー攻撃を受ければ情報は一気に漏洩する、つまり単一障害点となる
  • ということで新しい技術はこれらインセンティブ問題や壁を取り払えるだろうか?
    • DLTが一つの答えとなる
    • 分散型ネットワークにより、サードパーティーである仲介者を排除
    • 単一障害点を失くすことが出来る
    • データプライバシーもオフチェーン等を活用すればよい。
    • データの信頼性と所有権はデータ発生タイミングで確立するようにする。データの原産地証明みたいな感じ。
    • そうすると、データの所有者は、他者によるそのデータの利用から報酬を得られる仕組みは可能。
    • 利用頻度に応じたプライシング等により市場価格の算出も可能となる
    • データの利用から収益を生み出せるようになる、つまりデータは単なるデータはなく、データ資産となる